ヘールニコルソンの法則について

現在の太陽の表面に出ている黒点がかなりおかしいので、それを説明するために久しぶりにブログを書きます。まず、経験的な法則「ヘール・ニコルソンの法則」を説明し、現在の状況がどのようにそこから外れいるのか説明します。太陽の黒点数は11年の周期を持って変動していて、数ある法則のなかで黒点の極性に関するものが「ヘール・ニコルソンの法則」です。

まとめると、以下のようなことが成り立っているという法則です。
1. 黒点はいつも、2つ1組で現れるが、その極性はいつも反対
(西側にあるものを先行黒点、東側にあるものを後行黒点と言う 注:太陽の東西は地球とは逆です。)
2. ひとつの11年周期の間には、先行黒点・後行黒点の極性はそれぞれ保たれる。
3. 南北半球で黒点の対の極性は逆になる。
4. 11年毎に極性は反転する。

文にするとなに言ってるかわからないですが、図にすると以下のような感じです。
(図は僕のスライドからなので、勝手に使ってかまいません)

だいたいの黒点はこの法則に従っています。例えば、2011年8月の太陽の磁場の様子を見ると下の様になっています。(SDO/HMI: NASA提供)

北半球は、先行黒点がいつも黒くなっていて、南半球は先行黒点がいつも白くなっています。この法則は太陽の活動周期においては非常に重要で、この法則がやぶれれば11年の活動周期になんらかの影響がでます。

次に、現在の太陽の磁場の様子です。(SDO/HMI: NASA提供)

赤くかこった部分では、先行黒点が白くなっており、「ヘール・ニコルソンの法則」から外れていることがわかります。ちなみにこの黒点はすでにXクラスフレア(最大級のフレア)二発とMクラスフレア(二番目のクラス)をたくさん生み出しています。

これだけ大きな黒点が「ヘール・ニコルソンの法則」からずれていると、今後の大局的磁場に影響があるかもしれません。楽しみですね。