大学院生の研究の進め方と発表のイントロダクションの作り方について

最近、所属講座のコロキウムでかなり頻繁に「発表のイントロダクションが悪い」という話が出ているにも関わらず一向に状況が改善しない。

発表の最後の方では「君の結果はこういうものなんだから、最初にこういう導入をしなければいけない」という風な示唆が講座の先生や年寄りの学生からされているにも関わらず次の週になるとまた同じような良くないイントロダクションが用意されている。

これは、個別のことに対して解決策を提示してもうまくいかないのではと勘づき始めて来た。
色々考えた結果、多くの大学院生が陥る罠だと思うので、その原因と対策をここにメモしておこうと思う。

多くの大学院生のたどる研究の道筋はだいたいこんな感じである。(もちろんこんなのたどらない優秀な学生がいるのは知ってる。)
1. (偉い)教授・准教授から「こんな問題があるのだけど、取り組んでみないか?こんな方針でやれば面白い」と持ちかけられる。
2. 偉い人が示してくれたことだし、しばらく頑張って研究する。
3. だいたいうまくいかない→諦めて1に戻るか4にいくかどっちか
4. 最初に目指していたものとは違うが、面白い発見がある。
5. 4で見つかったことを発表する。

といった具合。もちろん、先生が示してくれた通りに研究が進むという場合もあると思うが、それはたいがいがあんまり難しくない問題で、まだ人類の誰もが解けていない問題に取り組む場合は、先生の示してくれた通りには行かず、ちょっと別な切り口の結果になることがほとんどだと思う。

もちろん学生が途中から自分独自の考えにしたがって研究を進めて独自の結果を出すこと自体は、すばらしいことである。

しかし、こういう道筋をたどった後に発表をすると往々にして、最初に先生が示してくれたままの、自分独自の研究結果に対応しないイントロダクションをしてしまうのだ。
(偉い)教授・准教授が示してくれたことに無下に破棄できないという気持ちはわからないではないけど、自分は自分の結果を知っているのでそれに対応した
その結果を面白いと思ってもらえるような導入をしなければいけないのである。

例えば、うちのコロキウムでこんな発表があった。
ちゃんと覚えてないが、どこかの惑星の磁気圏の話で、その磁気圏には衛星からプラズマが供給されるだの、太陽風動圧と磁気圧がこの惑星ではどうだのと言ったイントロダクションがあった。しかし、結論のところでは磁気リコネクションが重要という様な話がでてきた。

聞いた訳ではないので確証はないが、磁気リコネクションの話は研究の終盤で思いついた、もしくは観測データから推測されたものなのでは無いかと思う。
それならば、それでいいので、導入をばっさり変えてしまって導入で磁気リコネクションに興味を持たせるような内容にしなければいけないのだ。

かなり推測のまじった話だけど、自分を鑑みても思い当たる所がないではない。