東京大学入学・地球惑星物理学科進学・地球惑星科学専攻進学まで

つい最近後輩と話していて思い出したので、東京大学に入学してから今までに僕の道のりを記しておこうかと思う。

僕は一浪の末、東京大学に入学した。入学当時は受験のおかげで勉強の楽しさに目覚めていて大学に入ったらやってやろうと思っていた。。が、大学入学してからは怠惰な日々を過ごした。語学はとにかく苦手で、勉強もせず、ドイツ語は二年間の平均点が50点台だった気がする。(東大では50点を切ると留年)。

物理は、高校の頃からずっと好きで、大学に入ってからもそれなりに真面目に授業を聞いていたし、理解していた気がする。結構問題だったのが情報処理の授業。プログラミングというのが本当にいやでほとんどの課題を人に頼っていた気がする。また、このときもうちょっと数学をちゃんと勉強していたら今もう少し変わっていた気がする。

そんなこんなで進学振り分けの時は、あまり点数が高くなくて、入る事のできる学科は限られていた。最初は天文学専攻に入りたかったのだけれど点数的には無理そうだった。(あとで書く事になるかもしれないがこれは後になるといい結果となることになる)

物理がやりたかったので、物理学科に行こうかと思ったけど(物理学科は意外と行ける点数だった)、具体的な対象が欲しかったので少し躊躇した。そんなこんなで迷いつつ、進学振り分けの時のいろいろな学科のガイダンスで「地球惑星物理学科」に出会った。物理もできそうだったし、具体的な対象も扱えそうだし、いざとなったら天文的な事もできそうだしここは良さそうだと思った。

結局、地球惑星物理学科に行く事にしたんだけど、恥ずかしながら点数はギリギリだった。しかし、学科に進学してからは物理だけやればよくすごく楽しかった。1ー2年の頃とは違って、結構勉強した。いや、勉強したと言えるほどではないかな。友達が勉強熱心な人が多くてそれに引きつられたところはある。そんなこんなで、本郷に進学した。

本郷に進学してからは、なんと計算機の授業が週6時間もあった。プログラミングで、打ち破れた僕は「うわー地獄だ」と密かに思っていたが、やってみるとすごく楽しかった。これは、指導教員・TAの人たちのおかげであることは間違いない。嫌だと思っていたプログラミングのなんと楽しい事か。それから3年生の時はいわゆる「学部実験」というのがあって、これは運がなかった。所属を決めるのがじゃんけんなのだけど、僕は学科の中で一番じゃんけんに負けた。分光実験の方はそれなりに楽しかったんだけど、もう一個の方はすごくつまらなかったなあ。この時期は、量子力学とか電磁気ばっかり勉強してた。やっぱり将来はpure physicsかなと思い始めてた。でも、山形先生や新野先生の教えてくれた流体力学がすごい面白くて将来は、大気か海洋をやろうと思う。式をぐちゃぐちゃやって、世界の真理をさぐるという物理の典型が流体力学だと思った。とにかく、流体力学ができる分野に進みたかった。五月祭で海洋研究所の人たちにお世話になったし。

そして、3年の後期の授業だったかな。宇宙空間物理学という授業を受けた。今の指導教員の授業だ。宇宙が流体で扱える事を知り、本当に面白いと思った。毎週、この授業が来るのが楽しみだった。思い込みが激しい方だとは思うけど、間違いなく僕はこの分野だと思った。宇宙の流体は、数値計算で扱う事が多いというのも僕には魅力的だった。大学入ったころはプログラミングが大嫌いだった僕も学科に入ってからはそれなりに好きになっていたからである。

というわけで四年の特別演習では今の指導教員のところを選んだ。テーマは決められていて、「太陽ダイナモ」という事だった。太陽磁場活動の11年周期というやつ。正直、最初は、そんなに魅力的ではなかった。ただ、太陽の事も学べるしいいかと思っていた。しかし、学んで行くとめちゃくちゃ面白いテーマである事がわかった。

特別演習の後半では、先生に自由にテーマを選んでいいよと言われたが、迷わず「太陽ダイナモ」の勉強をつづけたいと言った。太陽ダイナモ研究は日本では孤独だぞと言われたけど、あんまり気にしなかった。4年の時は、運動学的ダイナモのコードを作って、それなりに運動学的ダイナモを理解して終わった。実はいろいろと新しい事を思いついた気でいたんだけど、全部誰かにやられているアイディアだった。

順番が前後するが、僕はそのまま地球惑星科学専攻に進み、特別演習を指導してくれた先生のところに行った。今のところすごい良い選択だったと思っている。進振りのときに天文学専攻に行かなかったのもよかったのはこの時点で効いてくる。あまり大きな声では言えないが、天文学専攻に進学していたら多分、太陽の観測的研究を無理矢理やらされていただろうなあ。僕は数値計算、理論、流体力学がやりたかった。

大学院に進学して、最初の歳は論文に追われたなあ。学部の時のアイディアが実は論文にできると先生に言われて、それを論文にする事にした。英語は得意でないし、かなり大変な作業だった。途中くじけそうになったけどなんとかまとめることができたのはかなり幸運なことだったと思う。

そんな感じで今に至る。太陽ダイナモというテーマはすごく面白いと思うし、研究という行為にも現在はまってはいるがいつまた怠惰な自分に戻る日が来るかもしれないと少し不安にも思っている。